カフェ&雑貨で売れる書店へ

書籍の売り上げや書店数が減少傾向の中、カフェで本をじっくりと選ぶことができる新たなスタイルの書店が人気を集めているそうだ。今年5月、大阪・梅田に関西では初の「蔦屋書店」ブランドでオープンした店舗では1日に約2万人が来店。大阪市内で3店舗を展開する「スタンダードブックストア」も商業施設内に出店し、客層を広げているという。インターネットで手軽に本が買える時代に対抗し、快適な本選びの環境を提供する書店ビジネスはさらに広がりを見せているようだ。
落ち着いた照明と音楽が流れる店内。客はホットドッグなどの軽食やコーヒーを味わいながら、購入前の書籍や雑誌をめくったり、パソコンで仕事をしたりと思い思いに過ごしている。平成18年に大阪・心斎橋に開業したスタンダードブックストア。運営する鉢の木の中川社長は「足を運びたくなる快適な空間を作りたい。きっかけは雑貨でも本でも、カフェでもいい」と話している。独自のこだわりもあり、キャッチコピーは「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」書籍も雑貨も店員が選んだ品を並べる。カフェでは作家や雑貨の作り手のトークイベントも開いているそうだ。
約30年前、大阪・枚方市で「蔦屋書店」として誕生し、今や全国でレンタルソフト店「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブも、新形態の書店を始めた。
再び「書店」の店名を冠し、改めて「本、映画、音楽を通してライフスタイルを提案する」という創業当時の理念実現を目指す。23年に東京で「代官山 蔦屋書店」を開店。今年5月には「梅田 蔦屋書店」を関西で初出店した。
梅田の店舗では書籍約20万冊のほか、雑貨も並ぶフロア全体に約500席のイスやソファを配置。フロア内のカフェや各種サービスのテナントを客が自由に行き来できる”滞在型書店”だ。ビジネス、文学、旅行、写真など専門分野に通じた店員「コンシェルジュ」も客からの相談に丁寧に応じているとのこと。
特にビジネス街の立地を重視し、「新たな働き」に関連した書籍がフロアの3分の1を占める。タブレット端末やスマートフォンの契約、アフターケアのサービスを受けられる他、貸し会議室や靴磨き専門店などもあるそうだ。
小笠原館長は「ネット時代に、ただ本を並べるだけでは売れない。新たなテーマ別の売り場構成やライフスタイルを提案し、来店した客に”気付き”のある店舗を目指す」と話す。
書店は今や本を売るだけの空間ではなくなってきているようだ。